中学生になると数学の勉強も本格的になり、内容も難しくなります。こうしたとき、大切になるのが「計算力」。
計算は数学を勉強する上で必ず出てきて、スピーディーにかつ正確に解き進められることはとても大切。
ただ、計算が苦手なお子さんは多いです。そもそも正しい計算の仕方が身についていなかったり、細かいミスをしてしまったりすることはよくあるもの。
計算にはポイントがあり、苦手な場合は何かが抜けています。
ここでは、数学の計算が苦手な場合の原因と、その対策を解説します。お子さんに伝えて、サポートしてあげてほしいと思います。
子どもが数学の計算が苦手な場合の原因と、その対策6パターン
中学生のお子さんが計算を苦手にしている場合、考えられる原因は次の6パターン。それぞれに解決策があるため、順番に見ていきましょう。
基本的な計算の仕方が身についていない → 中1・中2の計算を復習する
計算が遅い、またはよくミスをしてしまう場合、まず考えられるのは「中1、中2の計算が身についていない」ということ。
中1、中2のテスト成績が50点に届かないくらいの場合、基本的な計算の仕方を理解できていない可能性があります。
この場合、シンプルに復習をすることが大切。これまで習ったことを全てやり直す必要はなく、お子さんが中1の場合は中1の最初に習う計算を、中2の場合は中1・中2の計算を復習しましょう。
以前に習った内容はいま振り返ると、前より理解しやすくなっているはず。あらためて計算の仕方を確認することで、あやふやだった計算方法の理解を深めることができます。
難しい問題ばかりに取り組んでいる → カンタンな計算で、「解ける感覚」を身につける
計算が苦手なお子さんは、難しい問題に目が向きがちなこともよくあります。
難易度の高い問題を理解できるようになることは、確かに大切。ただ、基礎ができていないうちに取り組むのは本末転倒です。しっかりと土台ができているからこそ、応用問題の意味があります。
計算がしっかりとできていない場合、基礎がまだ固まっていないため、基本〜標準レベルの計算問題(教科書〜ワークの練習問題)を解くと良いです。
「こんなのカンタンだし、意味あるの?」と感じる計算問題でも、量をこなすことで、より的確かつスムーズに解けるようになります。
反復が足りていない → 教科書・ワークの基本計算を、たくさん解く
計算スピードがゆっくりな人は、反復練習が足りていません。逆に計算がとても速い人は、基礎的な計算問題を本当にたくさん解いています。
そのため、教科書やワークに載っている基本的な計算問題を、たくさん解きましょう。「掲載されている計算問題は、とにかく解く」という勢いで練習すると効果的です。
こう聞くと「大変そうだな」と感じるかもしれませんが、計算が得意なお子さんは、別にすごくストイックに練習しているわけではないことが多いです。マリオがクリボーをポコポコと倒すように、「解けた!また解けた〜」のようにゲーム感覚で解いています。
好きな音楽を聞いたり、YouTubeを見たりしながら、楽しく計算練習をすると良いです。
計算は単純な反復作業のため、音楽やYouTubeを見たり聞いたりしながらでも十分取り組めます。ストイックに勉強しようとしてモチベーションを下げるより、かえって効果が見込めます。
小学生の計算が、意外とできていない → 九九・ひっ算・小数・分数の計算を復習
中学生で計算が苦手なお子さんは、小学校の計算ができていないこともよくあります。小学校で習う九九・ひっ算・小数・分数の計算などが、きちんと理解できないままの場合も多いです。
こうしたときは、もう1度、小学生の計算を練習するのが効果的。九九・ひっ算・小数・分数などの計算が正確に解けるか、確認すると良いです。
この練習には小学生向けの計算ドリルが良いものの、中学生というプライドが邪魔することは多いです。お子さんが、「どうして今、小学生が使うドリルで勉強しないといけないの?」と抵抗するかもしれません。
そのため計算ドリルがベストですが、小数や分数の計算が出てくるたびに、正確に計算するよう意識すると良いです。通分や約分を正確にすることで、計算のスピードと正確さが身につきます。
頭の中で暗算しようとする → 途中計算を紙に書く
計算が速いように見えてミスが多いお子さんは、暗算で全ての計算をしようとする人が多いです。
暗算は途中式を書かずに答えを出すため、一見すると速そうに思えます。ただ、しっかりとした力がないと頭の中で正確に計算できず、逆にミスにつながってしまうことがよくあります。
お子さんが暗算で解いていてミスが多い場合、これまでの計算の仕方を見直し、なるべく計算式を書くと良いです。
紙に計算式を書くと途中式を頭の中で覚える必要がなくなり、考えを整理しながら計算できるようになります。途中式を書く分遅くなりそうに感じますが、実は速く正確に解くことができます。
ちなみに計算が速いお子さんは、途中式も整然と書ける人が多いです。逆にいうと「日ごろから途中式をきちんと書くことで、高い計算力を身に付けられるようになる」といえます。
字を雑に書いてしまう → なるべくはっきり、ていねいに書く
計算が遅い人やミスが多い人は、字が雑な人も多いです。
「字には人の心が現れる」という話もありますが、これは数学の計算にも当てはまります。
途中式を雑に書く人は、計算の仕方をきちんと理解できていないことがよくあります。そして、「何とかごまかそう」という気持ちが、字に出てしまいます。
意識してていねいに、ハッキリと字を書くことでごまかしがきかなくなり、正しい計算方法が身につきます。
字のていねいさと計算力は関係なさそうに思えますが、実は大きく関係があります。
計算の苦手を克服するために、今からできること3つ!
計算が苦手になる原因とその対策方法がわかったら、まずはできることから始めてみましょう。
計算力を磨くためにすぐ始められることは、次の3つ。できそうなことからスタートしてみてほしいと思います。
中1・中2の最初に習う計算問題を解く。教科書・ワークの問題を活用
お金をかけずにまずできることは、教科書やワークの計算問題を解くこと。
中学生の数学は1〜3年とも、最初に計算があります。中1・中2の最初に習う、計算問題を解き直しましょう。
このとき、教科書の例題・練習問題・章末問題、ワークの基本問題・練習問題・まとめの問題と、発展的な問題は省いて良いため、とにかく量をこなしましょう。
また、上でも紹介したように、途中式を書きながら計算の仕方を確認して解くと効果的。
「やみくもに、なんとなく解けた」というのではなく、「これは確実にわかっている」という感覚をもちながら解くことで、着実に計算力を高められます。
ちなみに「中1のワークを1日2ページ復習する」のように、ペースを決めて取り組むことも大切。「復習しよう」のようにざっくり決めると何をすれば良いか分からなくなることがあるため、解く問題やページ数を具体的に決めて取り組みましょう。
計算だけを練習できる、薄い問題集を買う(必要に応じて小学生の計算ドリルも効果的)
教科書の問題やワークは、すでに書き込みがあることも多いです。「1度解いた問題だと勉強しにくい」という場合、新たに問題集を購入するのも良いです。
ただ、計算力アップの目的で問題集を買う場合、分厚い教材はおすすめしません。なるべく計算問題だけを収録した、薄い問題集を用意しましょう。
ボリュームは少なくても、1ページずつ解くことで進んでいる実感がわきます。また、短期間で1冊を終わらせられるため、「自分でもできた!」という自信にもなります。
さまざまな問題が収録されている分厚い問題集だと、逆にやる気がなくなってしまう可能性があります。計算力を身につける段階では、取り組みやすさを重視して問題集を選びましょう。
個別指導塾や家庭教師で、計算の仕方をチェックしてもらう
計算練習は、やる気があればお子さんが自分で取り組むことができます。ただ、1人で勉強を進めるのは、やはり大変なもの。大人でも苦手なことを継続して頑張るのは、かなりの努力が必要です。
そのためできれば個別指導塾や家庭教師で、計算の仕方をチェックしてもらうと良いです。先生に正しい計算の仕方を教えてもらったり、途中色を確認してもらったりすることで、スムーズに計算力を磨けます。
学習塾と家庭教師は、お子さんによって向き不向きがあります。家庭教師のほうが集中的に教えてもらえるためおすすめですが、どちらも無料で体験授業を受けられるため、実際に授業を受けて考えるのも良いでしょう。
計算が苦手でも、正しく取り組めば克服できる!ゲーム感覚で練習しよう
数学では、必ずといって良いほど出てくる計算。ただ、今は苦手でもきちんと復習・反復練習をすれば、克服できます。ここで紹介した原因と対策を参考に、ぜひこれから練習を始めてみてください。
また、計算のトレーニングは、解きやすい基本問題で量をこなすことが大切。サクサクとゲームのようにたくさん解き、楽しみながら力をつけてくださいね!