大学受験の勉強をするときには、「PDCA」の考え方が役立ちます。
PDCAは主に仕事・ビジネスの現場で使われる考え方(フレームワークといいます)ですが、勉強にも効果的。そして実践の仕方が身につけば、今後も人生のさまざまな場面で役立ちます。
ここでは大学受験の勉強に、PDCAをどう取り入れるのかを解説します。
PDCAとは、目標を達成するためにするべき行動の頭文字
PDCAとは「目標に対して、どう取り組むとスムーズに達成できるか?」という考えから生み出された、4つの行動。
D(Do):実行
C(Check):検証
A(Action):改善
上の4つを順番に行うことで、目標を達成しやすくなります。
「計画・実行・検証・改善をするって、
当たり前じゃない・・?」
こう思うかもしれませんが、頭でわかっていても、全てをきちんとできている人は少ないもの。「4つの段階ひとつひとつを、意識してしっかり取り組もう」という意味で、PDCAは重要とされています。
たとえば会社では、
- 毎月の計画を月の始めに立てる(P)
- 計画を元に、スタッフが業務をする(D)
- 計画どおりに進んだか、月の終わりに検証(C)
- 今月を踏まえて、来月の改善点を決める(A)
のようなことが行われています。
単に「計画を立てよう」では取り組まない人が多いため、「月の始めに、全員で計画を立てましょう」のように具体的なルール・取り決めをするのが、PDCAを実践するということです。
ちなみにPDCAの「A」は「行動じゃないの?」と思いたくなるかもしれませんが、一応「改善」とされています。。
P→D→C→Aの順に繰り返し行動すると、目標が近づく(PDCAサイクル)
PDCAは、1度の行動ではあまり効果がありません。
- 計画を作ったものの、それから1年は何も計画を立てていない。
- 半年前に検証の会議をしたけれど、それっきり何もしていない。
上のように単発の行動では意味がなく、繰り返し継続する必要があります。これを「PDCAサイクル」といいます。
逆にいうと、PDCAサイクルをどんどん繰り返せば繰り返すほど、目標を達成できる可能性は高まるということ。
そのため会社によっては「どうすればPDCAサイクルを早く回せるか」が話し合われるくらい、重要視していることもあります。
大学受験の勉強法に、PDCAを取り入れる
大学受験の勉強にも、PDCAはもちろん効果的。勉強で取り入れる場合、PDCAの各行動は下のようになります。
D(Do):計画を元に勉強する。
C(Check):模試で学力をチェックする。
A(Action):模試の結果を元に、今後の勉強を改善する。
どれも大切と言われていることですが、自分を振り返ってみて、それぞれをきちんとできているでしょうか。
- 長期・中期・短期の計画を定期的に立てている?
- 毎日一定の学習時間を確保できている?
- 模試を受けている?
- 模試を受けるだけでなく、結果を踏まえて「こうしていこう」と考えられている?
こうしたことを考えて、「No」となる部分があれば、今後どうするかを考えてみてください。
P(Plan):学習計画を立てる
PDCAのスタートは、計画を立てることから。
勉強の計画は、
- 半年〜1年の「年間計画」
- 毎月の「月間計画」
- 毎週の「週間計画」
- 毎日の「日間計画」
上の4種類を作ることが大切。少し手間に感じるかもしれませんが、作るほうが今後の勉強はスムーズです。
また、計画を立てるときには、「平日は英語と数学を1日2時間勉強しよう」のように、数字を含めて細かく決めることが大切。やるべきことがハッキリすることで、取り組みやすくなるためです。
より詳しい計画の立て方は別ページでも紹介しているため、合わせて参考にしてください。
(参考)【高校生向け】勉強の学習計画の立て方:年間・月間・週間・日間と細かく作る方法
D(Do):計画を元に勉強する
行動がイチバン大変な部分。計画を立てることはできても、いざ勉強となると進まなくなることはよくあります。
- 毎日10分でも、机に向かう(「もう少し勉強しよう」という気になる)
- 勉強したあとはゲームなど、お楽しみを用意しておく。
- 友達と一緒に頑張る。
- 最初は短めの時間から始めて、少しずつ伸ばす。
- まずは3日頑張り、そのあとは1週間継続、1ヶ月継続を目指す。
上のように工夫することで、勉強を習慣づけていくことができます。
最初のうちは重い腰を上げる必要があるものの、慣れてくると「勉強するのが当たり前」という感じになるはず。この段階になれば理想で、あとは毎日の勉強が積み重なっていきます。
C(Check):模試で学力をチェックする
受験勉強をする上で、模試はとても大切。今の勉強で、志望校に届くのかがわからないためです。
模試は2ヶ月に1回ほどのペースで受けると良いでしょう。制限時間がある中で問題を解くことで、知識をアウトプットする実践力がつき、本番に近い緊張感も体験することができます。
また、模試は河合塾が実施しているものを中心に、駿台・東進の模試もタイミングが合えば受験しましょう。
A(Action):模試の結果を元に、今後の勉強を改善する
模試は受け終わったあとに、結果が返ってくるはずです。点数・偏差値・大学の合格判定だけを見て満足してしまう人は多いですが、「模試を踏まえてこれからどう勉強するか」を分析・改善することが大切。
- 数学は図形とベクトルが取れなかったから、重点的に復習しよう。
- 英語は長文が取れなかった。文法はある程度大丈夫だから、もっと読む練習が必要だな。
- 物理はまだあまり勉強していないから、点数が低いのは当然。来月までに電磁気を終えよう。
上のように「問題ごとの点数」も見ていくことで、より効果的な勉強をしやすくなります。
以上が受験勉強におけるPDCAですが、上でも紹介したように、これをサイクルとして繰り返す必要があります。いつもP・D・C・Aそれぞれの行動が、きちんと回せているかを確認しながら勉強しましょう。
PDCAは大学受験のあとも、資格取得や仕事などで使える
PDCAはシンプルな考え方ですが、意識して取り組むと人生のさまざまな場面で役立ちます。大学受験だけでなく、大学入学後の資格取得や、仕事でももちろん有効。
「受験勉強は、PDCAサイクルの取り組み方を身につける期間でもある」と考えれば、勉強がより有意義なものになるはずです。
大学に入ったあとも、何かクリアしたいハードルが出てくることはあるはず。そのときにPDCAの考え方が身についていれば、「まずは計画をしっかり立てよう」「検証・改善ができていないな」のように気づくことができ、望む目標を達成しやすくなります。
PDCAは手段のひとつ。ハッキリとした目標があるときに有効
PDCAはとても強力で、多くの企業やさまざまな場面で活用されています。
ただ、やはり長く使われていることで、PDCA自体を改善したような考え方や、「PDCAはもう古いのでは?」と言われることも出てきています。「PDCAさえ身につければ、人生安泰」のように考えるのはやめましょう。
PDCAはハッキリとした目標がある場合に効果的ですが、変化の激しい今の時代、別のアプローチで取り組まないと難しいこともあるはずです。PDCAを基本として、そこからまた改善をしていけば良いでしょう。
ちなみに大学受験は大きな仕組みがあまり変わっておらず、PDCAは依然として有効です。
PDCAは大学受験の勉強にも役立つ!取り入れて、効果的な学習を
PDCAは主に仕事で使われていますが、大学受験の勉強にも効果的。Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)という4つの行動を意識してサイクルを回すことで、志望校合格も近づきます。ぜひ具体的に取り組むことを決めて、頑張ってほしいと思います。
なお、PDCAを意識した質の高い学習をするなら、先生が全て東大生というオンライン家庭教師(個別指導)「トウコベ」がおすすめ。英語や数学の指導だけでなく、計画から勉強法の改善までしっかりと教えてもらえます。的確な現状分析と、東大生による今後の学習アドバイスを受けられる「勉強相談」は無料のため、気になったらまずは体験してみてほしいと思います。