
「うちの子に合うやり方」が見つからない
宿題に何時間もかかる。座っていられない。漢字だけがどうしても覚えられない。
塾に入れてみたけど、集団の中では全然ついていけなかった——。
いろいろ試しているのに、どれもうまくいかない。そのたびに「やり方が悪いのかな」と自分を責めてしまう。
そんなふうに感じている方は、少なくないと思います。
先に書いておくと、うまくいかないのは、方法が合っていないだけであることがほとんどです。
お子さんの努力不足でも、親の関わり方が悪いわけでもありません。
ただ、合う方法は本当に子どもによって違います。同じ診断名でも、効く工夫はまったく別だったりするんですよね。
この記事では、家でできる工夫と、外の支援をどう選ぶかを整理しました。
まず、学習面でつまずきやすいところ
診断名で分けるより、実際に何が難しいかで見たほうが対策につながります。
集中が続かない
15分座っていられない、気が散るものがあるとそちらに意識が行く。
これはやる気の問題ではなく、注意の向け方の特性であることが多いです。
「集中しなさい」と言っても、本人にはどうしようもない部分があります。
文字の読み書きに時間がかかる
音読でつっかえる、板書を写すのが極端に遅い、漢字が覚えられない。
理解力はあるのに、読み書きという入り口でつまずいているケースです。
この場合、内容が分からないわけではないので、入力の方法を変えると一気に進むことがあります。
一度に複数の指示が入らない
「教科書出して、31ページ開いて、3番の問題やって」が処理しきれない。
一つずつなら問題なくできるのに、まとめて言われると止まってしまう。
学校の一斉授業では、これがかなり不利に働きます。
見通しが立たないと不安になる
何をどこまでやるのか分からないと、始められない。
終わりが見えていれば取り組めるタイプです。時間や量を先に示すだけで、動きが変わることがあります。
こだわりが強い
決まった順番でないと進めない、間違えることを極端に嫌がる。
丁寧さの裏返しでもあるので、一概に困りごととは言えません。
ただ、テストのように時間制限がある場面では不利になりやすいです。
家でできる工夫
どれも、うまくいく子といかない子がいます。
全部やる必要はなくて、合いそうなものを試してみるくらいの気持ちで大丈夫です。
時間を短く区切る
15分やって5分休む。これだけで最後まで持つことがあります。
「30分やりなさい」より「15分だけやろう」のほうが、始めるハードルも下がりますよね。
タイマーを見える場所に置くと、終わりが分かって取り組みやすくなる子もいます。
やることを一つずつ出す
プリントを何枚も机に置くと、量に圧倒されて動けなくなることがあります。
今やる1枚だけを出す。 終わったら次を出す。これだけで進むようになったという話は、けっこう聞きます。
終わりを先に見せる
「今日はここまで」を最初に示します。
紙に書いて貼っておくのもいいですし、問題に印をつけておくだけでも構いません。
ゴールが見えていると動けるタイプには、かなり効きます。
入り口を変えてみる
読むのが苦手なら、聞く。書くのが苦手なら、口で答える。
音声で解説を聞く、動画で見る、タブレットで入力する。
理解力とは別のところでつまずいている場合、方法を変えるだけで進むことがあります。
学校ではなかなか認められないこともありますが、家庭学習なら自由です。
机まわりを減らす
視界に物が多いと、そちらに気が向いてしまいます。
机の上に必要なものだけ置く、壁に向けて座る。環境を変えるほうが、注意しつづけるより現実的だったりします。
結果より、取りかかれたことをほめる
点数や正答率だけを見ていると、ほめる機会がほとんどなくなってしまいます。
「今日は自分から座れたね」「15分できたね」。行動に目を向けるほうが、本人の自信につながりやすいです。
つい、やってしまいがちなこと
これから挙げることは、どれも一度はやったことがあると思います。私も言われたら耳が痛いです。
- 「なんで何回も言わせるの」 — 本人も分かっているのに、できないことがあります
- 他の子と比べる — 兄弟や同級生と比べられるのが、いちばん堪えます
- できるまでやらせる — 疲れきってしまって、次の日に響きます
- 一度にたくさん指示を出す — 悪気なくやってしまいますが、処理が追いつきません
全部やめるのは無理です。ひとつ減らすだけでも、家の空気は変わります。
学校で使える制度
意外と知られていないのですが、学校側で対応してもらえることがあります。
合理的配慮という仕組みで、次のようなことをお願いできる場合があります。
- テスト時間の延長
- 別室での受験
- 板書の写真撮影を許可
- タブレットやパソコンの使用
- 座席の配慮
ただし、対応してもらえるかどうかは学校ごとに判断が分かれます。
担任や特別支援コーディネーターに相談してみるのが第一歩です。
診断書があるとスムーズに進むことが多いですが、なくても相談自体はできます。
外の支援を選ぶとき
家庭だけで進めるのが難しいとき、選択肢はいくつかあります。
集団塾は、合わないことが多い
一斉指導で、全体に向けて指示が出て、決まったペースで進む。
ここまで挙げてきたつまずきと、ほぼ全部ぶつかります。
塾に入れてみて、うまくいかなかった経験がある方も多いと思います。
それはお子さんの問題ではなく、形式が合っていなかっただけです。
個別指導・家庭教師
1対1なので、ペースも、指示の出し方も、その子に合わせられます。
集中が切れたら休憩を挟む。指示は一つずつ出す。苦手な入力方法を避ける。
こういう調整は、集団では絶対にできません。
ただし、先生が発達障害の子を教えた経験があるかどうかで、かなり差が出ます。
ここは会社選びのときに必ず確認したいところです。
選ぶときに確認したいこと
- 発達障害への対応経験がある先生を紹介してもらえるか
- 実際に担当する先生の経験はどうか(会社として「対応可」でも、担当者次第です)
- 先生の変更が無料でできるか
- 相性が合わなかったときにどうなるか
このうち特に重要なのが2つ目です。会社のサイトに「発達障害対応」と書いてあっても、担当する先生が未経験ということは普通にあります。
最近は講師一人ひとりのプロフィールを公開していて、「発達障害の生徒向け」と明記している先生を自分で選べるサービスもあります。事前に経験を確認できるのは、この点ではかなり安心材料になります。
オンライン専門の会社なら、不登校や発達障害に特化したコースを用意しているところもあります。学習だけでなく、気持ちの安定を優先した設計になっているものもあるので、「今はまだ勉強どころではない」という段階でも相談できます。
費用の目安
| 選択肢 | 月額の目安 |
|---|---|
| 映像授業 | 2,000円台〜 |
| オンライン家庭教師 | 1.4万円〜 |
| 対面の家庭教師 | 2〜3万円 |
各社の対応内容や料金は家庭教師おすすめ10社を目的別に比較にまとめました。
入会金が0円のところもあるので、合わなかったときの負担も小さく済みます。
よくある質問
Q. 診断は受けたほうがいいですか?
学校での配慮を受けやすくなるという実務的な面はあります。ただ、診断の必要性は医療機関で相談することなので、ここでは判断できません。
診断がなくても、学習方法の工夫や家庭教師の利用はできます。
Q. 家庭教師に診断名を伝えるべきですか?
伝えたほうが、適切な先生を紹介してもらいやすくなります。
ただ、伝えたくない場合は「集中が続きにくい」「一度に複数の指示が入りにくい」のように、具体的な困りごとだけを伝える形でも構いません。むしろそのほうが、先生にとっては対応しやすいこともあります。
Q. 先生と合わなかったらどうなりますか?
多くの会社で変更できます。無料のところもあれば手続きが必要なところもあるので、契約前に確認しておくと安心です。
一度で合う先生に当たるとは限りません。変更を前提に考えておいたほうが、気持ちが楽だと思います。
Q. 塾と家庭教師、どちらがいいですか?
集団塾は形式的に合わないことが多いです。個別指導塾か家庭教師のほうが、調整が効くぶん向いていると思います。
通塾自体が負担なら、オンラインという選択肢もあります。
Q. きょうだいと同じようにできなくて焦ります。
同じ家庭で育っても、合う方法はまったく違います。比べる対象を、きょうだいではなく「昨日のその子」にすると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
まとめ
- つまずきは診断名より「何が難しいか」で見ると対策につながる
- 家では時間を短く区切る、一つずつ出す、終わりを見せる、入り口を変える
- 学校では合理的配慮をお願いできる場合がある。まず担任に相談を
- 集団塾は形式的に合わないことが多い。個別指導・家庭教師のほうが調整が効く
- 選ぶときは担当する先生の経験と、変更できるかを必ず確認
うまくいかない方法を続けていると、「この子は勉強ができない」と思い込んでしまいがちです。
でも実際は、合う方法にまだ出会えていないだけということが多いんですよね。
ひとつ試してダメでも、それは失敗ではなく、選択肢がひとつ減っただけです。
焦らず、合いそうなものから試してみてください。
いろいろ試しては、うまくいかなくて。そのたびに落ち込んでしまう気持ち、よく分かります。
でも、試している時点で十分すぎるほど向き合っていらっしゃると思うんです。
合う先生に出会えると、同じ子でも驚くほど変わることがあります。
体験授業は無料なので、まずお子さんの反応を見るところから始めてみるのもいいと思いますよ。
