サピックスオープンや四谷大塚の公開テスト(合不合判定テスト・実力判定テストほか)など、中学受験の模試でなかなか点数が伸びない、成績が安定しないというお子さんは多いです。
基本的には塾のカリキュラムに沿ってしっかり勉強を続け、面談などでのアドバイスを元に取り組みを改善すれば学力は上がり、コンスタントに結果を出せるようになります。
ですがお子さんが伸び悩む場合、弱みになっているポイントがどこかにあるということ。
頑張っているのに結果が出ない我が子を見るのは、親御さんとしてもつらいものです。
ここでは中学受験の模試で成績が安定しない場合の原因と、その対策について解説。
もちろん塾のスタッフからもアドバイスをもらうと思いますが、こちらの内容も参考に、お子さんの取り組みを見直してみてください。
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大手の中学受験塾が実施する模試は難しい問題も多く、受験する生徒さんの学力レベルも高いため、なかなか良い結果を出せない、出せても安定しないことはあります。
ただ、こうした模試でも安定して高い成績を出せているお子さんもいるため、原因を突き止めて改善していくことが大切。
お子さんも自分の弱点を見つけ直すのは怖いかもしれませんが、親御さんも協力しながら、ひとつひとつできることを積み重ねてくださいね。
模試の成績が安定しないのはなぜ?よくある課題
模試の成績が安定しないのはお子さんの能力や努力不足ではなく、学習の仕方や環境に原因があることがほとんど。
ここでは、成績が安定しないお子さんによく見られる共通の課題を解説します。
理解の定着が不十分(基礎の抜け漏れ)
模試ごとで点数に差があるお子さんの多くは、基礎の理解・定着にムラがあります。
1度学習してできるようになった内容でも定着が不十分だと、似ているけれど少し違う問題になると解けない場合が起こります。
【例】
- 計算問題は得意でも、文章題になるとミスが増える
- 漢字や語句は覚えたつもりでも、模試では思い出せない
- 社会や理科の暗記科目で、単発の問題は解けるが、文章問題になるとどう考えれば良いか迷う
こうした基礎の抜けを防ぐには、 復習の習慣化が重要。
間違えた問題はそのままにせず必ず解き直し、なぜ間違えたのかを分析。
穴がないように理解していきましょう。
応用問題の演習が不足している
塾の授業や宿題では問題を解けるお子さんでも、模試で出題される複合的な問題になると得点が不安定になることもあります。
この主な原因は、基礎は身についていても、それを応用する力が不足しているため。
【例】
- 単元ごとに習っているときは解けるのに、模試では思ったように点が取れない
- 見たことがある問題なら解けるけれど、少しひねられると対応できない
- 「この問題、何を聞かれているのか分からない」と感じることが多い
応用力をつけるには、「この問題はこう解く」というパターン的な学習ではなく、 思考力を鍛える学習が必要です。
塾のテキストなどを単元ごとに解くだけでなく、複数の内容が組み合わさった総合問題を解く、難易度が高めの模試の過去問を解くなどの練習を取り入れましょう。
本番形式の問題に慣れていない
模試の成績が安定しないお子さんの中には、時間配分や回答の戦略が身についていないことが原因の場合もあります。
【例】
- 普段の勉強では問題を解けるけれど、模試では時間が足りなくなる
- 後半の大問に手をつけられず、大幅に点数を落とす
- 解ける問題に時間をかけすぎて、ミスが増える
模試に慣れるには、 本番と同じ状況での演習が効果的。
時間を測りながら解いたり、図書館のように静かな場所で問題を解いたりすることで、解答スピードや時間配分の感覚を養うと良いです。
また、演習の結果を振り返り、「どの問題に時間を使いすぎたか」「どの問題を捨てるべきだったか」をチェックすることで、次回の演習や模試への対策ができます。
プレッシャーや緊張など、精神的な要因
学力そのものではなく模試での緊張感やプレッシャーに弱いことで、成績が安定しないお子さんもいます。
【例】
- 塾のテストでは解けるのに、模試本番ではミスが増える
- 「この模試で良い点を取らなきゃ」と思いすぎて焦ってしまう
- 模試の結果が悪いと、次の勉強に身が入らなくなる
- 親御さんが日頃から、「次の模試が大事だよ」のように声かけをしている
本番で緊張しやすいお子さんは、 模試を特別なものだと思わない」ことが大切。
- 自宅でも模試形式で問題を解き、本番の雰囲気に慣れる
- 模試の結果は「成績」ではなく、「弱点を見つけるツール」と捉える
- 模試のあとはできた問題に目を向けて、自信をつける
こうした細かな工夫の積み重ねで少しずつ模試への抵抗を減らすと、本番でも安定して実力を発揮しやすいです。
模試の成績を安定させるための勉強法
ここからは以上のよくある原因を踏まえて、模試の成績を安定させるための勉強法を紹介します。
もちろん塾でもアドバイスがあると思いますが、こちらもぜひ参考にしてみてください。
基礎を徹底する
まず大切なのは、とにかく基礎の徹底。
多くの生徒さんが落とさない基本問題は、取りこぼしのないよう速く・正確に・どんな状況でも解けるよう練習することが大切です。
そのために、以下の学習を取り入れてみてください。
忘れた頃に、復習を繰り返す
どんなお子さんも、1回で学んだことを定着させるのは難しいもの。
1回で覚えようとせず、 1日後・1週間後・1か月後 のように間隔を空けて復習することで、いつでも解ける状態まで定着します。
何度も同じ問題を解き直すのは手間ですが、だからこそ意味があるもの。
できれば繰り返しの復習まで学習計画に組み込むと良いです。
また、お子さんに「なるべくしっかり理解しないと、反復回数が増えて大変だ・・」という意識が働くことで、復習の質も高まります。
間違えた問題は「なぜミスしたのか」を分析する
学力がスムーズに伸びないお子さんは、「なぜ解けたのか」「なぜミスしたのか」をわかっていないことがよくあります。
きちんと解き方が理解できていて解けているなら問題ありませんが、たまたま正答できただけの可能性も。
また、たとえば算数なら、「計算ミス」なのか「問題文の読み違い」なのかを把握し、「次はミスしないようにこうしよう」と取り組みを改善していくことが大切です。
ただやみくもに問題数をこなしても、効果は薄いもの。
ひとつひとつの問題をていねいに分析して振り返り、次への教訓を活かして勉強することで、成績の安定化につながります。
音読とアウトプットを活用する
社会や理科の暗記項目は、声に出して読む、誰かに説明することで記憶が定着しやすくなります。
親御さんも「お母さんに説明してみて」と声をかけたり、暗記のチェックを手伝ってあげたりすると良いでしょう。
寝る前に軽く暗記をして、朝に思い出す
記憶は睡眠中に整理されます。
寝る前に覚えたい内容を見直し、翌朝にアウトプットすることで知識が定着しやすくなります。
模試の復習を学習計画に組み込み、習慣化する
模試を受けたあと、そのままにしているお子さんは多いです。
模試は 今の学力を測る機会でもありますが、 弱点を発見するためのツールでもあります。
模試の復習を学習計画に組み込み、確実に次へ活かしましょう。
問題をひと通り理解し、なぜ間違えたのかを分析する
お子さんの弱点を知るには、模試の分析が必要。
- 計算ミスが多い → 計算練習の時間を確保する
- 公式を忘れていた → 覚えるべき項目の暗記に時間をかける
- 問題文を読み違えた失点が多い → 文章題の練習を増やす
上のように間違えた主な原因がはっきりすると、それに合わせた対策も変わり、それぞれ異なる内容であることがわかると思います。
やみくもに勉強を進めると、こうした効果的な学習ができません。
間違えた問題を解き直すタイミングを決める
上でお伝えしたように、間違えた問題は解き直しが大切。
基本は1日後・3日後・1週間後がおすすめですが、全ての問題をこうして解き直していると時間が足りません。
親御さんも協力して問題を取捨選択し、いつ解き直しをするかまで計画に組み込むことが大切です。
また、最近は中学受験の塾とオンライン家庭教師を併用するケースもあるため、家庭教師の先生にお子さんに合わせたプランを作ってもらうのも良いでしょう。
お子さん専用の弱点ノートを作る
間違えた問題やお子さんがつまずきやすいポイントや問題をノートにまとめておいて復習すると、 次に同じミスを防ぐための対策ができます。
ただしあくまでも、ノートは「活用するもの」。
作って終わりでは意味がまったくなく、時間と労力を使うだけのため、使いやすさ重視で作成しましょう。
基礎から応用にステップアップしながら演習する
模試でよく出題される応用問題は、点数が安定しない大きな原因。
基礎から応用への橋渡しとなるような学習を意識すると、模試の問題にも対応しやすくなります。
「基礎7割・応用3割」のバランスで学習する
基礎はとても大切ですが、「基礎はスムーズに理解できるし、きちんと定着できている」という場合、応用レベルもバランスを見て取り組みましょう。
いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、まずは基礎固めに力を入れ、少しずつレベルを上げることが大切です。
なぜこの解法・考え方なのかを意識する
応用問題では公式や解法パターンをそのまま使うのではなく、考える力が求められます。
解答を見て、「なぜこのように考えるのか」「なぜその解き方を思いつくのか」という部分を考えながら理解することで、知識を応用する力が身につきます。
メンタルを整えられるよう、物事の捉え方・考え方を伝える
模試は問題だけでなくプレッシャーとの戦いでもあり、安定した成績を出すにはメンタルも大切です。
本番で実力を発揮するために、日ごろからプレッシャーへの対処法を身につけておきましょう。
- できたところ・良いところにも目を向ける
- 模試は学力を分析する機会で、練習のひとつと考える
- 良くない部分は「どうすれば良くなりそう?」と問いかけて改善
- 模試で緊張することはお子さんだけでなく、誰しもあることと考える
- 深呼吸をする
日ごろから頑張っているお子さんは、やはり模試の点数に一喜一憂してしまうこともあると思います。
親御さんもなるべくフォローしてあげながら、強いメンタルを作っていきましょう。
今は模試の成績が不安定でも、改善の積み重ねで安定へ
中学受験の勉強は長期戦。
模試での成績が不安定になるのは多くのお子さん・ご家庭が悩むところで、ここを我慢して乗り切れるかが点数の安定につながります。
そのためにはここで紹介したことを、日々積み重ねて改善していくことが大切。
お子さん1人では難しい場合、親御さんも協力して乗り切りましょう。
また、日々の学習や復習のプラン、塾でつまずいたときのフォローや模試への対策などは、オンライン家庭教師を活用するのもひとつの方法。
最近は質の高い授業を受けられる会社が増えていて、大手塾と併用することでさらに効果的です。
下のページでおすすめの会社を厳選しているため、ぜひ参考にしてほしいと思います。